SF時間・タイムループ
修正者の記憶
修正者の仕事は、地味だ。
橘みなみはいつもそう思う。外部から見れば、彼女の職場は普通のオフィスとなんら変わらない。三十二席のデスク、三つの会議室、給湯室のコーヒーメーカーは半年前から壊れている。
違うのは、デスクの上のモニターに映っているのが「過去のタイムライン」だということだ。
みなみの仕事は、タイムラインの「小さなズレ」を見つけて修正することだ。大きな変改——戦争の結末が変わるとか、重要人物が死ぬはずのタイミングがずれるとか——は上位チームが担当する。みなみたちは、もっと小さな案件を扱う。
例えば今日の案件は、一九八九年の東京、文京区の某一般家庭で起きた「鍵の紛失」だった。その家の父親が鍵を紛失したせいで外出が一時間遅れ、それが連鎖して三十年後の出来事に微細な影響を与えている——という判定が出ている。
続きは会員限定
月額会員登録で全作品の全文とバックナンバーが読み放題。
登録済みの方は同じメールアドレスで全文を表示できます。
※ AI生成フィクションです。いつでもキャンセル可能。
#SF短編#タイムライン#修正者#Epoch#記憶
他の作品も読む
SFその痛みは、私が捨てた
他人の痛みには、匂いがある。 佐久間澪はそう思っている。もちろん比喩だ。痛覚は嗅覚ではない。それでも、首の後ろの端子から流れ込んでくる痛みには、ひとつずつ違う…
バイオテクノロジー・遺伝子・身体拡張
SF涙腺の交換は、不要です
わたしは今日までに、千二百四十回泣いた。 悲しかったことは、一度もない。 わたしの型式名は鳴女(なきめ)シリーズ七号機。葬儀の場で、遺族に代わって泣く「代泣…
人間とロボット・境界線
SF異常なし、と私は書いた
エレベーターは、四十二階の次に四十四階へ止まる。 アマツ第三塔で暮らす十二万人のうち、それを不思議に思う者はもういない。四が二つ並ぶ階は縁起が悪いから欠番にし…
近未来都市・テクノロジー・格差社会
