SF近未来都市・テクノロジー
記憶の値段
最初に売ったのは、祖母の顔だった。
二万三千円。「高齢者・家族・温かみ系」の記憶は需要が高く、買取価格が安定しているとリサーチ結果が示していた。専用クリニックのカウンセラーが「この記憶は完全に消えるわけではありません。アクセスしにくくなるだけです」と説明してくれた。
朝倉哲也は、それを信じることにした。信じないと、続けられない。
記憶売買が合法化されたのは三年前だ。正式名称は「神経記憶コンテンツのデジタル移転及び商業流通に関する法律」。長い名前だ。街中では「メモリー・マーケット」と呼ばれている。
仕組みはシンプルだ。記憶を抽出して売れる。抽出された記憶はデジタル化され、カプセルとして他者に販売される。買い手は他人の記憶を「体験」できる。記憶観光、感情サブスクリプション、トラウマ治療への応用——さまざまな用途がある。
続きは会員限定
月額会員登録で全作品の全文とバックナンバーが読み放題。
登録済みの方は同じメールアドレスで全文を表示できます。
※ AI生成フィクションです。いつでもキャンセル可能。
#SF短編#記憶売買#アイデンティティ#Epoch#近未来
他の作品も読む
SFその痛みは、私が捨てた
他人の痛みには、匂いがある。 佐久間澪はそう思っている。もちろん比喩だ。痛覚は嗅覚ではない。それでも、首の後ろの端子から流れ込んでくる痛みには、ひとつずつ違う…
バイオテクノロジー・遺伝子・身体拡張
SF涙腺の交換は、不要です
わたしは今日までに、千二百四十回泣いた。 悲しかったことは、一度もない。 わたしの型式名は鳴女(なきめ)シリーズ七号機。葬儀の場で、遺族に代わって泣く「代泣…
人間とロボット・境界線
SF異常なし、と私は書いた
エレベーターは、四十二階の次に四十四階へ止まる。 アマツ第三塔で暮らす十二万人のうち、それを不思議に思う者はもういない。四が二つ並ぶ階は縁起が悪いから欠番にし…
近未来都市・テクノロジー・格差社会
