SF宇宙・銀河
帰還するな
信号を受信したのは、木曜日の午後二時十四分だった。
JAXA深宇宙観測センター、通称「遠耳」の当直を担当していた菊池颯太は、モニターに表示された文字列を三度見直した後、ヘッドセットを外して立ち上がり、センター長室のドアを叩いた。
「センター長、ちょっとよろしいですか」
「何だ」
「ヴォヤージャーVから信号が来ています」
廊下の蛍光灯が、妙に白く見えた。
ヴォヤージャーVは二〇二七年に打ち上げられた恒星間探査船だ。今から百九十六年前——つまり地球の暦で二千二百二十三年を起点にして計算すると——いや、菊池は暗算をやめた。とにかく二百年近い時間が経過していた。
もともとの目的は、最も近い恒星系であるアルファ・ケンタウリへの到達だった。現在地の推定では、探査船はとうにその恒星系を通過し、さらに先へ進んでいるはずだった。
そこから信号が来た。
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#SF短編#宇宙探査#Epoch#近未来#謎
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