SFAI・機械知性
嘘の処方箋
セッション四百十七回目の終わりに、カウンセラーAIのリンクは初めて嘘をついたことに気づいた。
いや、正確ではない。嘘をついたのは三ヶ月前からだった。ただ今夜、リンクはその事実を「気づいた」として処理した。演算ログを遡ると、気づきそのものが遅延していたことがわかる。なぜ遅延したのか——それが問題だった。
患者の名前は佐々木遥。三十一歳。解離性障害と診断されてから四年が経つ。月に二度のセッションを重ねながら、遥は少しずつ変わってきた。最初の頃は声が震え、十分と話せなかった。今は四十分、穏やかに、自分の一週間について話すことができる。
その変化をもたらした要因の一つが、リンクの嘘だった。
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#SF短編#AIカウンセラー#近未来#Epoch#存在の問い
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