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最後の五分間 — Epoch SF短編小説の挿絵
SF時間・タイムループ

最後の五分間

余命は六週間と言われた。


 福井誠一は診察室を出て、病院の廊下を歩きながら、頭の中で六週間を秒に換算した。三百六十二万四千秒。特に意味のない計算だったが、何か数字を扱っていないと、頭が静止してしまいそうだった。


 装置の話を聞いたのは、その三日後だ。


 元同僚の田辺が「知り合いに変なものを持ってる人間がいる」と連絡してきた。変なもの、という言い方が気になって、誠一は会いに行った。


 装置は小さかった。腕時計ほどのサイズで、ボタンが一つだけある。説明によれば、ボタンを押すと直前五分間に戻る。戻れる回数に制限はない。ただし——「五分後に必ず戻ってくる」という制約がある。どれだけボタンを押し続けても、五分ごとに同じ地点へ引き戻される。


 「一瞬でも死の瞬間を変えることはできない」と、装置を持ってきた男は言った。「それだけは試してみたので、確かです」

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