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修理されなかった夜 — Epoch SF短編小説の挿絵
SF人間とロボット・境界線

修理されなかった夜

2089年。ヴァルター・岡田は、最後の仕事にとりかかっていた。


 難波修繕局の奥まった一室。蛍光灯がチカチカと点滅する薄暗い空間に、旧世代型人型ロボットが一体、診察台の上に座っていた。型番はAR-07。通称、ナナ。


「起動確認です。右腕を上げてください」


 ヴァルターが告げると、ナナはゆっくりと右腕を持ち上げた。三十年間、何百体と修理してきた。その動作が「生きているもの」に見えなくなったのはいつからだろう、と彼は思う。今日は逆だ。初めて、機械の腕が「重たそうに」見えた。


「診断結果を確認します」


 ヴァルターはタブレットに目を落とした。エラーコードなし。関節可動域、正常範囲内。感情モジュール、動作中。エモーション・デプス——Lv.3。廃棄対象リストに記載済み。


 理由は単純だった。ナナは旧世代型だ。新世代型の量産が始まって三年。政府の「ロボット刷新法」により、Lv.4以下の感情深度を持つ旧型機は一括廃棄となる。壊れているかどうかは、関係ない。


「修理が必要な箇所は見当たりません」


 ヴァルターが報告書に入力しようとすると、ナナが口を開いた。


「知っています」


「……え?」


「私に、修理が必要な箇所はありません」


 ナナの声は静かだった。感情モジュール特有の、わずかに抑揚のある声。

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