SF近未来都市・テクノロジー
完璧の裏側
スコアが一〇〇〇になった瞬間を、杉本明日香は見逃した。
電車の中でスマートフォンを確認していたとき、スコア表示が更新された。九九九から一〇〇〇へ。そのとき明日香は窓の外を見ていたせいで、数字が変わる瞬間を見ていなかった。
気づいたのは一駅後だった。画面を見て、最初は見間違いだと思った。一〇〇〇は「満点」を意味する。満点は理論上存在するが、実際に達した人間がいるという話は聞いたことがなかった。
CAS——シビル・アシスタント・スコア——は二〇三五年に全国導入された信用スコアリングシステムだ。購買履歴、移動記録、健康データ、SNS活動、対人評価、税務情報——あらゆるデータから個人を評価し、〇から一〇〇〇の数値で示す。高スコアの人間は、賃貸審査も就職審査も、もはや審査がない。銀行金利は優遇される。医療費の優先割引がある。低スコアの人間は逆だ。
明日香は三十四歳で、十一年間かけてスコアを九百台から引き上げてきた。
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#SF短編#監視社会#信用スコア#Epoch#近未来
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