蒼の残像
青山カオリが最初にその夢を見たのは、五歳のときだった。
見知らぬ男が青い光の中で倒れている。男の顔は見えない。ただ、彼が何かをひどく悲しんでいることだけが、骨の奥からじんわりと伝わってくる。
夢は毎月一度、決まって現れた。
成長するにつれて、夢の解像度は上がった。男の手が見えた。白い手術着の袖から覗く、細い指。指先が床を引っ掻いている。何かを書こうとして、書けずにいる。
二十二歳になったカオリは、クラスター17-東の記憶研究所でデータ整理の仕事をしていた。
記憶と遺伝子が接続されて久しい時代だった。
GMC——Genetic Memory Capsule——の実用化から二十六年。今では誰もが子どもに「感情の記憶」を残すことができる。幼少期の愛着形成に効果があるとされ、記憶省が管理する公式プログラムとして普及していた。親の温もり、笑い声、抱擁の感触。死んだ後でも、親は子の細胞の中で生き続けることができる。
カオリの母も、カオリに記憶を残した。桜の花びらが舞う縁側で、誰かと笑っている温かい記憶。カオリにとってそれは、幼い頃の唯一の宝物だった。
母は十五年前に死んでいる。
問題は、母が残した記憶とは別に、もうひと
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