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最後の看取り — Epoch SF短編小説の挿絵
SF人間とロボット・境界線

最後の看取り

停止には、署名がいる。

その機体に看取られた人間の、肉親の署名が。


灯里が施設の白い廊下を歩くと、足音だけが過剰に響いた。十二月の朝、面会者は誰もいない。受付の端末が、彼女の顔を三秒見つめてから、扉を開けた。


「ノクター017号機、停止立会いですね」


案内の声に、灯里は小さくうなずいた。祖母のすずを、最期の四年間世話したロボットだ。すずが息を引き取った夜、その手を握っていたのは灯里ではなく、017だった。


葬儀のあと、灯里は一度もここに来なかった。来られなかった、という方が正しい。祖母を看取れなかった自分が、その代わりを務めた機械に会うのが、こわかった。


部屋の奥に、017は座っていた。人型。けれど顔には、表情をつくる繊細な皮膚がない。乳白色の輪郭だけが、窓の光をやわらかく返していた。


「灯里さん」と、017は言った。「やっと、いらしてくれた」


「……署名をしに来たの。あなたを、止めるための」


「ええ。それが制度です」017の声は、祖母の好きだった低い音域に調律されていた。「でもその前に、私には権利があります。看取った人間の肉親へ、最後の記録をひとつ、渡す権利が」


灯里は椅子に浅く腰かけた。記録、と聞いて

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